私は耳鼻科の近くにある調剤薬局に勤務しているのですが
一年に数回、クリニックでの処置用に院内特殊製剤を薬局で制作しています。
今日は「鼓膜麻酔液」を作っていました。
混ぜるだけですが、材料に興味が。
キシロカイン-局所麻酔
フェノール-殺菌消毒、鼓膜の皮膚層を腐食
メントール-芳香、高濃度により鎮痛・局所麻酔
フェノールが含まれてる精油にはオレガノ、グローブ、シナモン、タイムなどがありますが、かなりスパイシーな香り。
その共通する香りなのですが、フェノール本体の臭いは
絵の具のような、まさに消毒液のようにツンとくる独特な臭いです。
フェノールを含む精油は皮膚刺激があり、塗布には向きません。
それはそうですよね。
だって鼓膜を切開する前に、皮膚層を腐食するために使われるんですから。
そしてそこにメントールを加えると、空気がガラッと変わって
何ともスッキリとした香りの部屋になるんです。
かなり多めに入れるので、フェノール臭はなくなります。
メントールは臭い消しのためだけでなく、局所麻酔(鎮痛)のためにも入れるようです。
ここで使うメントールは、精油のペパーミントではなく、日本薬局方に掲載されている純粋な成分l-メントールです。
なので、たくさんの成分が入っているペパーミントとは違い、l-メントール単体の匂いです。
もちろんその分ペパーミントの方が甘さや深さを感じますし、産地によって香りが異なります。
l-メントールは痒み止めとして、皮膚科でクリームと混ぜて処方されたこともありました。
いろいろダメで、最後の手って感じでした。
こんなふうに、医師に処方される薬品として香りが使われているんですよ。
やっぱりいい香りって、空気をガラッと変えますね。
ちょっと公私混同?って感じの時間でした。